2014年03月08日
沙恵の妙案

ある日、あゆみは、沙恵に言った。
「なんかさー、浜井で遊んでみない?」
「浜井、で、遊ぶ?」
「そうそう、おちょくってやろうよ。どんなリアクションするか見たい!」
それは一重に、あゆみのちょっと変わった浜井への好意の示し方なのだろうと沙恵は思った。
「あゆみが一人でやればいいじゃん」
あゆみは、陽気に、首をふる。
「ダメダーメ、うちのクラスには柏木阿佐がいるんだぞ」
柏木阿佐とは、この、さくら中学校のミスさくら嬢に選ばれたくらいの聡明美人で、その上、なんとも言えない秘密めいた色気があり、男子はもちろん、沙恵やあゆみでさえ、あこがれの存在だった。その阿佐に、あまり興味を示さない浜井の宇宙度の高さも、沙恵は気に入っていた。
「浜井はどんな女の子が好きなのかな」
沙恵の言葉に、あゆみが飛びつく。
「そこを、オタクのあんたに考えてもらいたいのよ!」
「オタクって」
「あ、ごめん、いつも本ばかり読んでいるから、私から見れば沙恵はオタクなの」
ちょっと失礼なあゆみを小突きながら、沙恵もまんざらでもなさそうに考える。
「・・・そうねぇ、偽ラブレターでも書いちゃう?」
偽というのは、差出人が不明なだけで、あゆみや沙恵にとっては、本当のラブレターになのだが。
「誰がくれたか、まったく想像ができないような、ラブレターがいいね!浜井、どんな顔するかな?」
その後、数日考えて、沙恵が考え出したラブレターに、あゆみは、吹っ飛んだ。
「確かに、誰かまったくわかんないけど・・・さすが沙恵というか・・・あんた、不思議ちゃん」
そう言いながらも、とにかく浜井をからかってみたいあゆみは、そのラブレターを放課後、浜井の机の中にそっと置いてきた。
Posted by 弘せりえ at 13:40│Comments(0)
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